近々出費を控えているユーザーは、店頭でこのマシンを見ないほうがいい。特に、3.7型なのに640×480ドット(6万5536色)の高解像度を実現した「システム液晶」の画面を見てしまったら、もうアウトだ。5万9800円前後と多少勇気のいる実売価格ではあるが、液晶の凄まじさに触れただけで、購買意欲が成層圏を突き抜けてしまうこと必至のキケンな新製品である。
2002年12月に発売された「SL-C700」(以下C700)は、(国内では)初代Linuxザウルスとなる「SL-A300」の特徴である、
を引き継ぎつつ、「システム液晶の搭載による高解像度画面の実現」という革命的な要素が追加された。
C700は、ノートパソコンのような横型(インプットスタイル、画面1)から、PDAのような縦型(ビュースタイル、写真2)に変形して使える回転型の液晶パネルを持つ。両者の使い方はまさにその呼び名にふさわしい。メール作成など入力を伴う作業や、横長での閲覧が便利な画像表示などはインプットスタイルで行い、アドレス帳やザウルス文庫などの閲覧はビュースタイルのほうが使いやすい。画面は回転と同時に自動で切り替わるので、気軽にクルクルとスタイルを切り替えられるのもうれしい点だ。次に、話題となったキーボードだが、キーピッチは10.75mm。これは実物大写真を掲載したのでご覧いただきたい。キータッチは絶妙の固さ。なぜ絶妙なのかというと、机に置いて全部の指を使って打つこともできるし、筐体を持って親指で打つこともできるからだ。親指打ちだけを想定した場合、キーが固いほうがクリック感が出るのだが、あまり固いと机に置いたときに打ちにくくなる。C700は、両方にバランスのよい固さになっているのである。
SL-A300の特徴でもあったザウルスショットも進化した。C700ではクリップボード内の画像と文字のほか、アプリケーションの印刷イメージも取り込めるようになったのである。これは、知る人ぞ知るソフトウェア開発企業、グレープシティの「LEADTOOLS ePrint Printer Driver」の技術が使われている。これにより、例えばWindows上のPowerPointのプレゼンテーション数ページを一括してザウルスに持ってくることも可能(印刷だから当然である)。さらに、印刷イメージを取り込めるということは、Webブラウザやワープロを切れ目なく取り込めるという利点も出てくる。
パソコンとの連動だが、物理的にUSB(1.1)接続である点はSL-A300と変わりがない。ただし今回から、従来のTCP/IPによる「ネットワーク接続」に加え「シリアル接続」の2パターンを選択できる。大まかに言うと、簡単だがファイル操作に若干の制限が加わるのがシリアル接続で、従来どおりまるでローカルのようにファイル操作が行えるのがネットワーク接続といったところだ。シャープでは、シリアル接続を推奨し、ネットワーク接続は「詳しい人向け」としている。
はっきり言って、C700はシステム液晶の搭載という面だけでも十分買いの製品なのだが、アプリケーションの使い勝手やパソコンとの連動機能など、普段コンピュータを使っている人間をうならせる機能が多い。さらに、採用OSがLinuxというだけあって、ユーザーがスワップ領域を自分で指定するなど、突き詰めてカスタマイズすることも可能だ。本稿は試作機を試用しているためパフォーマンスに関するテストはしていないが、CPUにIntelのXscale PXA250-400MHzを採用し、SL-A300に比べてスペックアップも図られている。日本の底力を感じさせるこの製品を、是非手にとって確かめていただきたい。
(月刊アスキー編集部・吉川)