この秋に10周年を向かえるシャープの「ザウルス」に、従来のコンセプトを一新する、薄型&コンパクトな1台が加わった。「世界ザウルス」を合言葉にして、この夏、日本から世界に向けてリリースされる「SL-A300」は、「Linux搭載」と「データビューアのコンセプト」という2つの新しさを備えた、新世代のザウルスだ。
シャープは「MI-Eシリーズ」で、縦型スタイル&スライドキーボード搭載という新機軸を印象付けるとともに、高機能なWebブラウザとメーラ、MPEG-4やMP3の技術を利用した動画/音楽再生、キーボードやデジタルカメラの内蔵など、日本ならではニーズを汲み上げた「多機能」路線を進めてきた。 しかし、SL-A300ではこれら「ザウルスの強み」をバッサリと切り捨てる冒険に出た。SL-A300が目指すのは、PIMやPCとの容易な連携をベースに考えた、シンプルな「データビューア」のコンセプトである。SL-A300は、MI-Eシリーズの象徴だったスライドキーボードを持たないばかりか、「通信」に必須のコンパクトフラッシュ(CF)スロットさえも外付けにしてしまった。
SL-A300はPCのデータを持ち運ぶことを念頭に置いた「PC Companion」の一種である(写真5)。「ワイヤレス通信」や「マルチメディア」をさかんに強調する最近のPDAの傾向から、コンセプト的には一歩あと戻りした感があるが、それが改悪であるかというとそうではない。ザウルスのラインナップ全体から見れば、従来カバーし切れなかった分野をサポートするむしろ評価に値する1台である。
SL-A300とPCとの接続はUSB経由(写真6)で行うが、データの転送にはTCP/IPを使用している。SL-A300ではSambaが動いており、PCからはファイルサーバとして見える。このLinuxザウルスならではの機能を利用したのが「ザウルスドライブ」である。ザウルスドライブの常駐アイコンをダブルクリックすると、フォルダが開き、SL-A300に保存されているフォルダやファイルの参照が可能で、PCからデータを移したいときはドラッグ&ドロップするだけでいい。